おそらく20年くらい前に劇場で観た映画。そのあとビデオでも観たと思う。
過去の自分との出会いにもなるので、鑑賞以上の時間となる。
主人公の年齢を超えているので、若者のというか青年のというか瑞々しくて、この監督にしては肉体的な躍動感も印象深いし、感情がのっていて、やはり特別な作品だと思う。
もう少し街の人々の描写に幅があっても良いのでは、一方的過ぎるのでは、と今になっては思うが、そうでないがゆえに描けるものをある。
経歴によると監督は幼少時代にトルクメニスタンに居た時期があったようなので、そのあたりの記憶、感覚が強く残っていたのかもしれない。部外者としての疎外感が周りの人々との距離を強め、ある種得体のしれないものとして映っていたものが滲み出てたのかもしれない。
土地=場所が大きな比重をしめていて、かつ感情と、大胆な音楽と映像が連動する様が素晴らしい。また、台詞や説明を省略することで得られるものの大きさを改めて感じたし、ゆえに映像と音楽の豊かさが十二分に活かされていた。
今まで気付かなかったけど、思いのほか音楽が多くて、そして影響を受けていたのかもしれない。
西洋とアジアの音楽がコラージュされ、加工され、ある部分では歪ませ伸ばされる音が、エモーショナルに響く。
She収録のSister,GirlやGhosts,Ghostにはその影響があるかもしれない。
日陽はしづかに発酵し… / アレクサンドル・ソクーロフ
1988│ソ連│カラー│138分│配給:パンドラ
中央アジアの荒涼としたウラン採掘坑跡地を舞台に、ロシアと中央アジアの青年の交流を軸に、スターリンの強制移住に端を発した民族問題、イスラム教とキリスト教古儀式派との関係、核開発による自然破壊など、複雑なロシア現代史が隠喩のように込められている傑作!