オルフェオ/リチャード・パワーズ著
アメリカの作家リチャード・パワーズが2014年(翻訳は2015年)に発表した小説。
ある作曲家の一生と音楽(主に現代音楽)の話。長年世間に認められないものの、純粋に己の音楽を記し、後に絶望、もろもろの後悔などもありつつ、晩年、遺伝子に音楽を組み込むコンセプチャルな作品…曲をデジタル化して四つの塩基から成る連鎖に変換し…を制作中、バイオテロリストとして指名手配され逃避行する。アメリカの地を車で横断するうちに、ハーリー・パーチ、ホーボーに身を重ねていく。
過去の作曲作品に関する記述も多く、ストーリー、主人公の作品とリンクしているものもある。オリヴィエ・メシアン『時の終わりのための四重奏曲』、ジョン・ケージ『ミュージサーカス』、スティーヴ・ライヒ『プロヴァーブ』、ドミトリイ・ショスタコーヴィチ『交響曲五番ニ短調』、そしてハーリー・パーチ『バーストー』。
ちなみに、過去作『われらが歌う時』は演奏家の話で、古楽とソウルミュージックが重要な位置を占めていた…ような気がする…アルヴォ・ペルトもでてきたかも…。
オルフェオ
リチャード・パワーズ 著
判型:四六判変型
頁数:428ページ
ISBN:978-4-10-505875-3
発売日:2013/07/31
http://www.shinchosha.co.jp/book/505875/
耳に聞こえないメロディーは、聞こえるメロディーよりさらに甘美だ。
微生物の遺伝子に音楽を組み込もうと試みる現代芸術家のもとに、捜査官がやってくる。容疑はバイオテロ? 逃避行の途上、かつての家族や盟友と再会した彼の中に、今こそ発表すべき新しい作品の形が姿を現す――。マーラーからメシアンを経てライヒに至る音楽の歩みと、一人の芸術家の半生の物語が響き合う、危険で美しい音楽小説。