謎ときサリンジャー―「自殺」したのは誰なのか―
竹内康浩/著 、朴舜起/著
https://www.shinchosha.co.jp/book/603870/
鈴木大拙による松尾芭蕉の俳句の禅的な解釈をベースにグラス家の物語を読み解く・・・って感じの本でした。感心しっぱなしというか、「マジか!」って実際に何度か口にしながら読みました。
かつてグラス家の物語、シーモア・グラスに関する話を読んで何だかの引っかかりがあった方なら面白く読めると思います。
サリンジャーが鈴木大拙の書籍を読んでいたのはほぼ確定の事実のようで、時期や影響の大小までは分からないけど、相当深く関係しているのではと思えてくる、そんな本です。
考察と文学研究の差がいまいち分からないのですが、考察・謎解き・ミステリー風に進んでいくので最後までワクワクしながら読めました。4章は少し毛色が違いますが。
ただ、この本の性質上「バナナフィッシュにうってつけの日」をサリンジャーが執筆した時点で、全てが設計済みだったかのようになっているけど、実際は後から当て嵌めていったパーツも少なくないと思う。そのように読めるように付け足したというか。
自分の場合だと、直感的に書いた言葉の意味や繋がりを後から考える事があって、気付いたり築いたりして続きを書いたりする事があります。
まあでも、自分よりも相当頭が良いであろう早熟な作家なら、あらかじめ全てを見晴らした上で巧妙に隠しつつ配置したってことも無くはない。
どちらにしろ、この本の解釈は説得力があってほぼほぼ納得って感じでした。教養が足りない自分では言語化出来ていなかったものが書かれていたというか。
あと、自分の歌詞はまあまあ禅的だったんだなあと思いました。